平成最後の日から始まる「令和の迷路雑談」、第1回です。
2年以上ルール付き迷路を書き続けてきたアーシが、今まで語らなかった迷路についてを書いていきます。
初回は迷路の複数解について。
目次
パズルゲームにおける複数解
私の作る「考える迷路」ですが、頭を使うという観点からパズルゲームに近いものだと思っています。
特に、(一部の迷路を覗き)最初から全体像を把握することができ不確定要素がないことから、詰将棋やペンシルパズルゲームに近いです。
代表的なペンシルパズルゲームの例を挙げると、「数独」「イラストロジック」などでしょうか。
ちなみに、個人的に好きなペンシルパズルゲームはスリザーリンクです。
これらのゲームについては正解が複数種類あると駄作と呼ばれます。
これは、ゲームとして、1種類の解答にたどり着くことを目的としているからです。
それでは迷路も複数解を許容しないのか?
迷路とはどういうゲームなのかを改めて考えていきましょう。
迷路の目的
迷路とは何か。
私はその名の通り、迷う路(みち)だと考えています。
「思考の迷路」や「人生の迷路にはまる」という言葉があるように、紙に書かれた迷路以外にも迷路はいっぱいあります。
思考の迷路や人生の迷路は平面ではありませんし、ゴールにたどり着けるかもわかりません。
なんだったらゴールが存在しないかもしれないのです。
実際の迷路についても、スタートもゴールもなく、ただだだっぴろい迷路で遊ぶこともできます。
例えば、こんな迷路はどうでしょうか。
あなたはひたすら迷うこともできますし、例えば「右上から左下まで移動する」ことを目的に迷路に取り組むこともできます。
それだけ、迷路とは自由なものなのです。
ただ、それでは自由すぎて遊びにくいということで、私の出題する迷路では、スタートとゴールを決め、問題という形で出題しています。
複数解が迷路を難しくする
本題、迷路の複数解についてです。
まず、次の【A】と【B】どちらが難しく感じるでしょうか。
【A】
【B】
迷路全体を俯瞰して見渡すことができる人であれば、【A】の方が圧倒的に簡単だったと思います。
【B】は3本の道のうち、2本が行き止まりなので引き返す必要がありますが、【A】の迷路では3本のルートどれを通ってもゴールへたどり着けます。
しかし、【A】の迷路では、迷路全体を俯瞰して見ることのできない状態であると次のような迷いを生み出すことができます。
一度来たことのある場所に戻ってしまいましたね。
右側の分岐では右に進むと簡単にゴールできるといことをわかっていない人はさらに迷ってしまうことでしょう。
実際にはもっと複雑な迷路で、全体を俯瞰しずらい箇所でこういった複数解の仕掛けを行っている迷路をいくつか作っています。
迷路はペンシルパズルゲームとは違い、完成時の形が決まっているわけではなく、スタートからゴールへ辿り着くという明確な目的があるため、その経過は関係がない。と私は考えています。
もう一つ、私が迷路に複数解を作ることがある理由を紹介します。
これは私の作る「考える迷路」だからこそ当てはまる特色なのですが・・・
迷路に複数解を作成しない場合、複数通りの方法で辿りつける地点はゴールまでのルートでないと判断され、それ以降のルートを迷ってもらえなくなる。
という問題を抱えているからです。
特に移動順を指定している迷路では移動が特定のマスへ集中しやすいです。
複数解を許容しない設計で迷路を作成した場合、複数ルートからその地点にたどり着けてしまった場合はそのルートは不正解ルートである、ということが簡単に露呈しています。
そのため、一部の迷路では複数解を用意して、多くの迷路で様々なルートを楽しんでもらえるようにしています。
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今回は私の思う迷路の複数解について書いてみました。
実は違う解き方があるかもしれないという観点で私の迷路を見直してもらえると、新たな発見があるかもしれませんね。